歓談夜話

あなたにとって、うまくいかない日があっても大丈夫です。下には下がいて、例えばそれは僕のことです。

2020-01-01から1年間の記事一覧

傷つかないで済むように。

大人に片足を突っ込んだ年齢になって、ようやくわかったことがある。 生きるのって、かなりつまらない。 だからといって、童心に帰れば解決するのかといえば、そんなに単純な話でもない。 お酒の味も女の人の肌の味も、知らなかった世界に戻ることは、凡俗な…

理想の社会。

僕にとっての理想の社会、それは『自分には何の才能もありません』と高らかに言える社会だ。 全てが競争で決まるこの世界で、自分を強く見せることは生き残るためには不可欠だ。いつまでたってもボンクラではいられない。 本当にやりたいことを我慢して口に…

子供っぽいという言葉が。

子供っぽいという言葉が悪口なら、大人っぽいという悪口だってあって良いはずだ。 大人は子供にこのことを言われると、途端に怒り出す。子供はこれから大人になれるから、大人に悪口を言われたって黙っている。でも大人は、もう他になれるものがない。逃げ道…

One of themの自己陶酔。

智に働けば角が立つ。情に棹せば流される。時には他人が馬鹿に見え、時には自分が世界で最も愚かな存在に思えてくる。 と、まぁここまで漱石が草枕の冒頭で言ったわけではないだろうけれど。 現代社会に生きる僕としては、どうしても矛盾を抱えずにはいられ…

画伯

ちっとも上達しない。画力の話である。 昔から驚くほど絵が下手だった。犬を描けばば干し柿になり、ドラえもんを描けばほっかむりをしたコソ泥になる。伝わらない文章が悪ならば、伝わらない絵は罪であろう。その両方を科された僕は、一体前世ではどれくらい…

雨の日に考えたこと。

心待ちにしていた休日も、こう雨ばかりでは気分も落ち込んでくる。 それでも無為に過ごしてしまうのもったいないので、最近なんだかたるみ気味な自分自身を奮起させるために、なんの脈絡もないけれど『これまで僕はどんな人のことを好きになってきて、どんな…

ハムスターを食べる。

去年の夏のある日、連日の台風の影響による野菜の値上がりに怒った父が、地元のホームセンターでトマトの苗木とナスの種を買ってきた。自宅の庭を開墾して家庭菜園をはじめると言うのである。 30度近い気温の中、現在55歳になる父が、北海道を舞台にしたホー…

「猫的酒気帯回想録」

酩酊は人間だけに許された快楽に非ず。これは猫の嗜好においても好ましいことのひとつである。今宵は家主の目を盗んで「山ねこ」の瓶を開けた。今この六畳一間には吾輩以外の生き物はおらぬ。けれどもいつ人間が帰ってくるか知れぬ。ゆえに駆け足の語り口に…

小心者なりの生き方。

世の中には二種類の人間がいるらしい。 強者と弱者。勝ち組と負け組。 たった一度の人生で、自分がどちら側にまわることになるのかは、神様だけが知っている。 競争社会なんて言われたって、何と戦っているのかも曖昧な毎日。 だけど、焦りだけは感じている…

復讐

堕落は際限というものを知らない。 椅子に座って本を読んでいると、そうだ、くつろぎのためには温かいお茶が欠かせないなどと思い立ちT-falのスイッチを入れにいきたくなる。 お湯が立っていよいよお茶が入りましたよという段階となると、右手にはティーカッ…

チャンスは他人のナルシシズムの中にこそある。

以前、とあるネットラジオの有名ハガキ職人に 「あなたが投稿している、思わず読んでしまうようなあるあるネタはどうやって生み出しているのですか?」という質問をしたことがある。 彼に言わせると、読んでもらうためのポイントはいくつかあるそうなのだが…

トトロを探して

家に篭りきりの生活をこれほどまでに続けていると、心地良い春の夜も少しずつただの生温い寝苦しいものになってくる。 僕は寝不足と運動不足の両方を解消するために、不要不急の夜散歩に出かけた。 散歩と言っても、最寄り駅から川沿いの道を15分ほど歩いて…

大丈夫にする。

コロナウイルスへの対策として、本来避けるべきであるはずの「三密」を充分過ぎるほどに満たしている会議室の中で、今日も僕は、先輩やキャストの方々に『体調はいかがですか』なんてやっている。 側から見たら愚かな行為を大真面目にこなしているだなんて、…

僕は大体、間違えている。

先日、大学時代の先輩と駒込にある閑静なバーで三か月ぶりに再会した。僕たちの会話は、最初のうちは若干のぎこちなさを含んだ近況報告が中心であったけれど、次第にバーが売りにしていた多種多様なリキュール達の手伝いもあって話は盛り上がりをみせ、話題…

「さよならのカレー」

毛布にくるまれて眠ったはずなのに、目が覚めると身一つで布団の上に横たわっていた。眠気を振り払おうと顔を上げると、カーテン越しに鈍い光が差しこんで、ぱらぱらという雨が窓ガラスを打つ音が聞こえた。いつもの癖で布団をはぎ、冷えた明け方の中を体を…