歓談夜話

あなたにとって、うまくいかない日があっても大丈夫です。下には下がいて、例えばそれは僕のことです。

星に願いを。木偶の坊は奮闘する。

光陰矢の如しとはよく言ったもので、僕がこの世に生を受けてから、はやくも20余年の時が経つ。

 

振り返れば、これまでの時間は光のように一瞬だが、どこか影のように、現在にまであとを引くような出来事もたくさんあった。

 

思い出そうとすれば、記憶は矢継ぎ早に頭の中を駆け巡っていく。

 

 僕が生まれたばかりの頃のことである。

 

赤子であった僕は、美しいながらも柔和な表情とその純真無垢さで、実家に集まった親戚一同を悶絶させてまわっていたらしい。

 

好物のボーロを僕に食べさすというイベントには、近所中から集まった人々で長蛇の列ができた、という伝説さえ残っている。

 

周囲の人々の多大なる祝福を受けながら、二浪二留というこの体たらく。

 

このようなだらけた人間になってしまったのは、いったいどこに原因があるというのだろう。

 

このままいくと、僕の全盛期はボーロでおしまいだ。 

 

適度に叱られ適度に褒められ、決して悪い育て方をされてきたとは思わない。

 

きっと、僕のこのどうしようもない根性のなさは、生まれつきのものなのだろう。

なにせ、運動会の50m走の本番で、少しスタートが遅れたからといって三歩で諦めた人間なのである。(足がつったと言って途中棄権、あの痛がり方は中々の演技だったと思う)

 

 赤子の僕に悶絶していた第一人者である祖父に言わせると、今の僕は、怠惰な木偶の坊、とのことらしい。

 

最悪じゃん。

 

木偶の坊てブスなピノキオみたいでなんかいやだ。

 

勿論、昔は、立派な人間になりたいと思っていた。

 

小学生の時にはプロ野球選手になりたかったし

 

中学生のときはマイケル・サンデルに憧れていて、彼のように、世の中に一石を投じるやうな大学教授か、ジャーナリストになりたいと思っていたのだ。

 

けれど現実はそう甘くはなく、自分で思っていたほど、自分の頭は良くなかった。

高校は半ば不登校のような状態で卒業し

人の倍以上の時間をかけて入学した大学も、このままいけば、人の倍以上時間をかけて卒業することになっている。

 

それでもおそらく、今このような駄文をしこしこ書いているのは、読んでいる人に何かを届けたいという幼き頃の挫折した夢の残滓が、そうさせているからなのかもしれない。

 

などといえば聞こえは良くなるかもしれないが、ただ講義をサボって、その退屈しのぎをしているだけである。

 

哀れなり、根性無き男。

哀れなり、単位無き男。

 

生きるのがこんなにも下手クソなのは、僕自身が、現実と折り合いをつけることは、何かに敗北したこと意味する、と思っているからであろう。

 

だが、皆さんはきっと、そんなことはないと知っているはずで、

たとえどんなリングに上がることになったとしても、現実と戦うことに意味があると、知っているのだ思う。

 

現実との折り合いとは、多くを負けながら勝ち得た、自分自身の幸せのことなのだ。

 

勝つ自信は微塵も持っていないうえに、負けを死ぬほど怖がっている僕のような怠惰な木偶の坊が、立派な人間になりたいなどと気軽にいうものでないのは当然である。

 

ブスなピノキオからいわせてみれば、現実と戦っているひとは、既に立派なのだ。

 

ここで、映画 ロッキーザファイナル から、感銘を受けたロッキーの台詞を皆さんにご紹介して、今日は終わりにしようと思う。

 

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お前にもわかっているはずだ。
世の中はいつもバラ色じゃない。
厳しく、辛いところだ。
気を抜いていたら、どん底まで落ち込んで、二度と這い上がれなくなる。

 

人生はどんなパンチよりも、重くお前を
打ちのめす。
だが、人生とはお前が強く殴り返すか
じゃない。
どれだけきついパンチを打たれても、
休まず前に進み続けられるかだ!

 

どれだけこっぴどく打ちのめされようと、
前に進み続けるんだ。
その先に勝利がある。

 

いいか、自分の価値を信じるなら、迷わず
前に進め。

 

だが決してパンチを恐れるな!
他人を指さし、自分の弱さをそいつらの
せいにするな。
それは卑怯者のやることだ、お前は違う!

 

 

この先何があろうと、俺はお前を愛し
続ける。
お前は俺の息子だ。俺の血が流れている。
人生のかけがえのない宝物だよ。

 

だけどお前は自分自身を信じなければ、
人生はつかめない。

 

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は誰しも、心のどこかで、なにかしらの叶わぬ想いを持って生きていて。

 

もし星に願って叶うのならば。

 

僕は普通の人間になりたいと

 

願うんだろうなぁ。

 

おしまい。